以前にもこの方の著書を読んでいて、めっちゃ良かったんで、久々にほかの作品も読んでみようかなあ~と思って手に取ったのがこの本。
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いや~なんとなく目にとまって、ゆっくり読むつもりで買ったのに、めっちゃ面白くて久々に一期に読んじゃいました。
あらすじとかちゃんと読んでなかったせいもあるんですけど話の展開が意外だった。
主人公が祖父の代から続く尼崎の映画館を閉める、みたいな話から、おじいさんはなんで映画館をやってたのかな、っていうところに疑問が出てきて、その足跡をたどっていく…っていう流れで、西表島の炭鉱でかつて強制労働させられていた過去が明らかになって…みたいな話なんですけど。
史実の勉強にもなるしね、読んで本当よかったです。
私沖縄の、波の上ビーチというところに行ったことあるんですけど…。
風光明媚な神社もあって、綺麗な場所やな~っていうイメージしかなかったんですけどあのあたり、遊郭だったんですねえ…。
あの一帯のいろんな島から少女たちが売られてきていたらしい。
そんな悲しい過去がある場所だったんですね…。
あそこが、めっちゃ話のキーポイントになっているんです。
主人公(というかその祖父?)がここの女の子に惚れちゃうんですよね。
結果的にそれが炭鉱を生き延びる支えになって、最後はハッピーエンドで読後感も悪くないのがまたいい点なんだよなあ~。
おじいさん、うまい話で騙されて西表島に連れていかれるんですけど、そこがとんでもなく劣悪な環境で、日々死が身近でたくさんの人が亡くなってしまうんですけど。
まあ昔なんてこんな話は吐いて捨てるほどありますからね。
ちっとも珍しい話ではないっていう。
ましてや軍国主義に突っ走ってた時代なんて、いくらでもだまして働かせてましたからね。
人権なんてなくて当たり前。
声を上げるすべもない。
理不尽が当然のようにまかり通るのが世の中だったんだよね…。
人間の歴史なんていつの時代を見てみても、どこもこんなもんですよ。
隠蔽や人権侵害、虐殺の歴史ですよ。
現代では考えられないことが山のようにあって、それが長い間まかり通ってた。
今風の時代ってのになってようやく精神性に価値を置く時代になってきたけど、平成だって隠蔽だらけでしたもんね。
最近ようやくどんどん暴かれてきて、これは本当にいい傾向ですからね…。
もっともっと泣き寝入りされていた方の苦労が報われる世の中になってほしいなと思います。
そう考えたら気候変動だの物価上昇だの、現代も問題はたくさんあるけど、ネットがあるおかげで何事も隠しにくい世の中になってるし、今のほうがいい時代やなって思いますね。
世の中の悪い部分だけでなく、いい部分に目を向けるためにも、歴史の知識って持っておいて損はないんだよな~。